特許権を取得するための手続
@特許出願
特許出願は、発明を記載した書類を特許庁に提出することによって行います。このとき、出願手数料を納付する必要があります。
A出願公開
出願公開は、原則として出願日から1年6月経過後に行われます。出願公開されることにより、出願人には補償金請求権が与えられます。出願公開の請求を行うことにより、1年6月よりも早く出願公開を行うこともできます。このような早期出願公開制度を利用することにより、補償金請求権を早期に発生させることができます。
B審査請求
審査を受けるためには審査請求を行う必要があり、審査請求は出願日から3年以内に行うことができます。つまり、審査請求を行わずに出願日から3年が経過すると権利化できなくなります。審査請求時には審査請求料を納付する必要があります。審査は原則として審査請求順に行われますので、早く権利化したい場合には、出願と同時に審査請求を行う必要があります。
なお、一定の条件を満たしている場合、早期審査制度を利用することにより、優先的に審査を受け、審査請求から拒絶理由通知又は特許査定までの期間を短縮できる場合があります。また、一定の条件を満たす場合には、審査請求料の減免・猶予を受けることができます。
C特許査定
特許請求の範囲に記載された発明が新規性・進歩性などの特許要件を満たしていると審査官が判断した場合に特許査定が行われます。このとき、出願人には特許査定の謄本が送達されます。
D登録料納付
特許査定の謄本送達日から30日以内に特許料を納付する必要があります。このとき、少なくとも1〜3年分の特許料を一括納付する必要があります。特許料を納付せずに30日が経過すると権利化できなくなります。
なお、一定の条件を満たす場合には、特許料の減免・猶予を受けることができます。
E拒絶理由通知
特許請求の範囲に記載された発明が新規性・進歩性などの特許要件を満たしていないと審査官が判断した場合には拒絶理由が通知されます。
F意見書・補正書
拒絶理由が通知された場合、意見書又は補正書を提出し、拒絶理由を解消する必要があります。意見書は、審査官に対し意見を申し述べる書類であり、補正書は、出願書類の内容を変更するための書類です。
G拒絶査定
意見書・補正書を提出しても審査官の判断が覆らなかった場合には拒絶査定が行われます。このとき、出願人には拒絶査定の謄本が送達されます。
H拒絶査定不服審判
拒絶査定の謄本送達日から3月以内に拒絶査定不服審判を請求すれば、3名の審判官による判断を仰ぐことができます。 審判請求と同時に補正を行うこともできます。この審判において新規性・進歩性などの特許要件を満たしていると認められれば特許審決(特許査定)が行われます。
なお、一定の条件を満たしている場合、早期審理制度を利用することにより、審判請求から拒絶審決又は特許審決までの期間を短縮できる場合があります。
I拒絶審決
審判官も新規性・進歩性などの特許要件満たしていないと判断した場合には拒絶審決が行われます。 審判官による拒絶審決に承伏できない場合、裁判所に審決取消訴訟を提起することができます。